カムイギリ シャチの神様と私のムックリ
余市町よいち水産博物館に展示されている木彫りの壁飾り
可愛いでしょ
これは余市、蘭越のあたりに暮らしたアイヌの人々がシャチの神様の偶像として祀っていた神飾り。
シャチは人の命を奪う脅威であり、多くの人の腹を満たす海の恵みでもある。
逆らえない自然の猛威を神の仕業と考える自然崇拝。
シャチの神様。命を奪わないで。どうか海の幸を引き連れてやって来てくださいと祈りを捧げたのかな。
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— おりえokanart (@qpdooltookanart) 2019年12月20日
シャチの神様が海の幸を引き連れてやって来る。 pic.twitter.com/BqGQzbJXw3
ボヨンボヨン音は私が鳴らすムックリ🎵
2-3-2. カムイギリ
またイノカカムイ inoka kamuy のほかに具体的な形象物としての偶像としてカムイギリ
20というものがある(図 25.)。難波・青木(1989)によると、余市から石狩湾地方の西海岸
20 おそらくカムイkamuy-イキㇼikir(神・列、ものの集合)というアイヌ語と思われ る。ただし、本稿では、難波・青木に従って「カムイギリ」と表記する。
また、青木(1990)では、これを「カムイニリ」と表記している。
一帯のコタンに祀られていたという。 この偶像がどのような役割を担っているのか、難波・青木(1998)は、「カムイギリはレ
ブンカムイ(沖・支配する・神)であるシャチが自分の支配下である魚や海獣を従えてやっ てくる、それを象徴したもの」(p.15)と述べている。また、その祀り方は以下のようであ ったらしい。
カムイギリはその宝壇の上に吊り下げられていた。
宝壇の前には朱塗りの高杯(ツキ)と捧酒箸(イクニ)キツネとシギの神頭骨、海 から拾いあげた丸石や海岸に寄る鳥形木、山海の初物が高膳にのせて供えられてあっ た。
祖父の時代になってからは、とくにカムイギリの祭を行っていないが、季節の狩猟 時期には新たにイナウを立てて祈願していた。朝夕の祈りは火の神についで、二番目 にカムイギリを拝み、最後はキツネ、シギの神頭骨に捧酒するのが日課であった。 (p.17)
これが、守護神の一種として祀られていたのか、あるいは依り代の一種だったのか、また 他に何かしら役割があったのかは現状定かではない。今後、このカムイギリはイノカカムイ inoka kamuy やその他の守護神と考えられる偶像などと比較検討しどう位置づけられるの か、改めて調査していきたい。
アイヌの器物の具体的な表象・形象 1 ―アイヌが用いる動物・植物意匠― 欠ヶ端 和也
P19-P20より引用
https://core.ac.uk/download/pdf/156876553.pdf